『コンセプトのつくり方(山田壮夫)』をとりあえず、ふむふむと読んだ。


 この手の本は世の中に溢れてますが、これほど薄いものは珍しい?と思い、ハンドブック的位置付けで買ってみました。

コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法

 コンセプトを作るとか、ビジョンを作るとか、大事大事とは言われますが、なかなかその重要性を認識し、実践している人は周りにいないように思います。コンセプトばかり作って、その後が続かない人。コンセプトなしにとりあえず作っちゃって、出口がないパターンなど、現実は理想どおりにいきません。そんな現状を見つめながら、自分なりにどういった手が打てるのか?を模索するために、有効な手法のヒントになるかな、と思いささっと読んでみました。


 「ふむふむと読んだ」というのは、本文中にそういったことが書いてあったことを引用しています。何事もまずは聞いてみようよ、ということらしいです。ふわっとしたことを言う人もいれば、きっちり理屈を詰めて話す人もいる。でも、とりあえずふむふむと聞いて飲み込んでみよう!ということだと解釈しました。

著者について

山田壮夫(やまだ そお)
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写真元:課題を大胆に解決する骨太なアイデアを評価 朝日新聞社メディアビジネス局 - @ADV

 1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。株式会社電通 第1CRプランニング局所属。


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どうやら、この電通報というサイトの中に、今回の本の内容が断片的に紹介されています。「なぁんだ、このサイト見ていれば良かったのかー」と思ってしまうところをぐっとこらえて、書籍を手元に持つ喜びに浸ります。やはり、web上で見るより、手元で読んだ方が、なんとなく頭に入る気がします。これって科学的に証明されていたりするのでしょうかね?*1


コンセプトの意義

 「でさあ・・・それってデータで証明されているの?」
この本の本文の最初は、この投げかけから始まります。新しい企画や研究を考えないといけないビジネスマンにとって、最もめんどくさくて厄介な質問だと思います。それと同時に、必ず聞かれるけど、これって正解を導けるの?という疑念に駆られる質問です。


コンセプトはサーチライト

本文から引用。

コンセプトは経験的世界という暗闇から物事を照らし出す「サーチライト」です。

詳しくは、以下のページに図が描かれていますが、要は、これまでの常識を覆すために、経験的世界を少しずらして、新しい部分と置き去りにする部分を明確にするためにコンセプトが必要だとされています。こうすることで、何がイノベーションとして新しくなったのか?何がイノベーションのせいで置き去りになったのか、を明確にすることができるそうです。
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十字フレームワーク

 十字フレームワークは、図を見ないと意味がわからないと思います。
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十字フレームワークは、この図の上に「ビジョン」、図の下に「具体策(現実)」がくっついている感じです。

課題とコンセプトは裏表

 ま、これは先ほどの十字フレームワークを見たら気づく感じです。課題があって、それに対応するのがコンセプトという関係になっています。現実的に解決すべき課題がないと、いくらかっちょいいコンセプトを作っても意味がありません。そして一生実行されませんもんね。これは痛感しています。


コンセプトを導く、4つのモード

 これも電通報の中に書いてある部分があります。
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もし今までにない商品をつくりたいなら、最初のステップは数値データもうわさ話も、正しいかどうか価値判断することなく「とりあえず、ふむふむ」と身体に取り込むことです(感じるモード)。その上で、どうしたらホンネで欲しいものになるか、つくりながら考えます(散らかすモード)。そうすると「なんかいいぞ!」「これならイケるかも」が見つかります。その時に、その「なんかいい」の正体を言葉(コンセプト)で捕まえるのが発見!モード。そこから具体策をつくるのが磨くモードです。

感じるモード

・・・数値データもうわさ話も、正しいかどうか価値判断することなく「とりあえず、ふむふむ」と身体に取り込むこと

散らかすモード

・・・どうしたらホンネで欲しいものになるか、つくりながら考える

発見!モード

・・・散らかした後、「なんかいいぞ!」「これならイケるかも」が見つかった時に、その「なんかいい」の正体を言葉(コンセプト)で捕まえる

磨くモード

・・・具体策をつくっていく

図で見るとこんな感じ
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これを「ぐるぐる思考 四つのモード」と呼んでいるようです。


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例題

本書の中ではいくつかコンセプトづくりの例題が示されています。ここでは、ぐるぐる思考でつくられた実際の商品の一例だけご紹介。

広島かき味のり

【 広島名産 】 かき醤油味付のり 角60枚

見た目インパクトありますね。電通っぽい仕上がり?ですか。この辺の裏話も電通報に書いてありましたw

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この商品の形になる発端は以下の事象でした。

広島で焼き海苔、味付け海苔などを加工・販売する「丸徳海苔」。最近、なかなか海苔が売れないなか「もっと多くの人に楽しく海苔を味わってもらいたい」というビジョンのもと新商品を開発することになりました。
さて、どうすればよいでしょう?

ここで大事なのは、ビジョンが決まっていることだと思います。

そして、コンセプトを決めていくにあたって、広島弁はこわい?というイメージから、「コワもてスナック」というコンセプトにたどり着いたようでうす。ま、詳しいことはこの本か電通報を見てくださいw


読了期間 2016.7.2-7.4

*1:紙の方が記憶に残りやすい研究結果もあるそうです。