【QGIS】必要な部分だけクリップする。(クリップの使い方)
QGISは使えば使うほど優秀さがわかってくるツールです。使っているうちに、いつも「あれ、これどう設定するのだっけ?」と悩むことが多々有ります。今回もその一つです。
ベクタ→空間演算ツール→クリップ機能
これ、初めて見たときは、なんかすぐ使えそうな気がしましたが実は曲者です。今回確認した手順と目指すイメージは以下の通り。
<手順>
- 切り取られるベクタを用意する
- 切り取りたい範囲のポリゴンの外郭線を作成(融合)
- 1と2のCRSをプロジェクトCRSに揃える
- クリップを実行
結果のイメージ
今回は、大阪府にある駅と路線をクリップしてみました。では、一つ一つ見ていきます。
1.切り取られるベクタを用意する
ま、これは特段言うことはないですが、今回はオープンデータを用いています。
出典:国土数値情報ダウンロードサービス
鉄道を選択→国土数値情報 鉄道データの詳細
ダウンロードしてQGISで表示してみるとこんな感じ
このshpファイルの地物数によれば、全国に駅が10,345もあるんですね!
2.切り取りたい範囲のポリゴンの外郭線を作成(融合)
実はここが今回のキーになっていると思います。もし大阪府の行政区画ポリゴンデータがあって、大阪府のみのシェープファイルを用意したとしてもうまくいきません。原因は切り取る境界線がたくさんあるから?だと思います。なので、見易さも兼ねて、切り取りたいポリゴンを融合しておきます。
融合は
ベクタ→空間演算ツール→融合
ってところにあります。
起動するとこんな画面が出てきます。
ここで
入力ベクタデータ・・・融合したいポリゴンデータ名
融合フィールド・・・融合して一つにまとめるキーとなるフィールド
を意味しており、癒合フィールドで指定したフィールドに同じ名前が入っているデータのみ融合されることになります。今回は、KEYというフィールドに「大阪府」と全て書いてあるので、大阪府内の行政区画をひとまとめにした大阪府の外郭線が出来上がります。
※全国データからこれを行うと、都道府県別の外郭線ができあがるので、その中から大阪府だけ取り出しても同じこと。
融合前はこちら↓
融合後はこちら↓
これでなんかすっきりした感じもします。
3.1と2のCRSをプロジェクトCRSに揃える
この手順もGIS触っている人にとっては常識なのかもしれません。空間的な演算をしようとするとき、その対象となるレイヤ同士のCRS(測地系)が揃っていないと正しく計算されません。ここでは単純に、対象とするレイヤを名前を付けて保存し、その際のCRS設定をプロジェクトCRSとして書き出しておきます。
4.クリップを実行
いよいよクリップする準備が整いました。早速クリップに向かいます。クリップ機能はここにあります。
このクリップをクリックすると以下の画面が出てきます。重要な設定です。
ここで
入力ベクタレイヤ・・・切り取られるレイヤ(点、ライン、ポリゴン)
クリップレイヤ・・・切り取る範囲を司るレイヤ(ポリゴン)
ここに注意して設定させすれば、無事に自分が分析したい対象のものだけが切り取られるはずです。これに慣れるまで、結構かかりました(汗)
最終系は、ラベルや配色に手を施してこんな感じです。
以上、基本的ではありますが時間が経つとつい忘れてしまいそうな処理です。今後は今回クリップしたデータをもとにある点からの同心円を描いてみたりしたいと思います。
では。
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