『ハッカソンの作り方』を読んで、ハッカソンをやるべきかどうか考えてみる。


まぁいろいろと仕事も込み入ってきまして、いよいよ自分主体で攻めていくフェーズに入りました。その際、やはり既存の手段は知っておくべきだということで、改めてハッカソンについて勉強してみます。

ハッカソンの作り方

ハッカソンの作り方

チョイスした(というより、先輩から借りた)のは、この本。優しい感じの本です。事例もたくさんあるので、読みやすいのが特長です。

私が特に注目したいところだけかいつまみレビュー!

著者

大内 孝子
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フリーライター/エディター。
主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。Engadget日本版にも寄稿。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。
出所:「Orphe」は“光と音と動きが自由に行き来できる世界”のハブ:no new folk studioが目指すもの | fabcross


ハッカソンとは?

 さっそく、ハッカソンとは何者なのでしょうか?wikiによればこうです。

ハッカソンという言葉はハック(hack )とマラソン(marathon )を合わせた混成語である。


ソフトウェア開発分野のプログラマやグラフィックデザイナー、ユーザインタフェース設計者、プロジェクトマネージャらが集中的に作業をするソフトウェア関連プロジェクトのイベントである。


ハッカソンは1日から一週間の期間で開催することがある。いくつかのハッカソンは単に教育や社会的な目的を意図に開催する。使用に耐えるソフトウェアの開発や既存のソフトウェアを改善することを目標としている場合もある。

とあります。では、近年よく耳にするワークショップとの違いはなんなのでしょう?

名称 概要 成果物
勉強会/セミナー 講師から情報を得る会。情報の流れは主催者→参加者の一方通行が多い。 新たな知見、講演資料等
ワークショップ 直訳すると工房。現代のワークショップは、参加者の合意形成や演劇や音楽等の体験プログラムも含まれる。 ワークショップごとに異なる。
ハッカソン 前述の通り、短期間でなんらかのプロトタイプを作り上げるものが多い。 アプリ等のプロトタイプ
イデアソン ハッカソンで具体化する前段階のアイデアを作り上げるものが多い。 アプリ等に反映できそうなアイデアやイメージ
ブレインストーミング 集団の中で、意見を出し合い普段出ないようなアイデアを生み出す方法。 イデアマップ、付箋だらけの模造紙

これらは、あくまで私なりの整理です。この本では、ワークショップなどハッカソンの決定的な違いについて、成果物が明確かどうかとされていますが、私はちょっと違うと思っています。ワークショップでも成果物を明確に設定する場合もありますので、この点は少し共通かと。

また、ハッカソンは検討するお題(課題)があらかじめ与えられるのに対し、ワークショップやアイデアソンは、具体的なお題(司令、課題)はあまり固まっておらず、ある程度抽象的な課題から、さらに具体的な課題まで落とし込んで、その解決アイデアを考えるというプロセスかと思っています。


ハッカソン立場別の目的

 では、ハッカソンってなぜ参加しようと思うのか、なぜ開催しようと思うのか、それぞれの思惑は以下のようにまとめられています。(p36)

立場 目的
主催者 ・既存の問題を解決するアイデアを生み出す
・新しいアイデアイノベーションを生み出す
・新技術、サービスを理解し、共有する
・新しい人脈を作る
・新規事業開発
参加者 ・スキルを高める
・集中して迅速に開発するノウハウを習得する
・新しいアイデアを生み出す
・新技術、サービスを理解し、共有する
・新しい人脈を作る
・新規事業開発

両者で共通する部分もありますが、振る舞いが違うとぶつかることもある。主催者、参加者のマッチングができることがベスト!だそうです。


さまざまなハッカソン事例

 この本では、多くの事例が紹介されています。かなり詳しく内容が書かれていますが、ここでは私が気になった事例のリンクを貼っておきます。

mashupaward.jp
www.ashita-lab.jp
製品開発イベント第2回ものアプリハッカソン!!主催:大阪市都市計画局 運営:innovate! osaka | Osaka Innovation Hub


企業の実施例

 企業の実施例では、それぞれの企業がどのようにしてハッカソン実現にこぎつけたかなどが記されています。それは参考になりますので、かいつまんで書きます。

global.yamaha-motor.com
ヤマハさん、だいぶ攻めているな。。。

最初にハッカソンをする際には、実績のある先生や外部の講師をファシリテーターとして招聘し、実際にハッカソンを運営してもらいながら、やり方を学ぶということをされているそうです。(p147)


www.fujitsu.com
富士通研さんは、ハッカソンをやりつつ、その中の課題をレポートされています。

大手企業にいる若手が自分が作りたいものが作れないという理由でベンチャー企業へ転職することに違和感があった。その中で、メーカーにいながら作りたいものが作れないのはおかしい、だから社内で作りたいものをつくる実例をつくりたい!という思いから始まったそうです。(p152)

そして、社内でハッカソンを開くことを承認してもらうために、上層部へ丁寧な説明をし続けたとのこと。また、ハッカソン初心者からすると、「遊んでいるだけでは?」という意見が多くなりがちなので、参加者の評価を積極的に公開し、ハッカソンが楽しく意義のあるものであることを伝え続けたとのこと。(p154)


opc.olympus-imaging.com
オリンパスさん、特設サイトがかっこよすぎです。

ロフトワークとの共創で、ハッカソンを実施。初期のハッカソンで出たアイデアを継続して検討しているプロジェクトも立ち上がったそうです。(p160)
www.loftwork.jp



さいごに(感想含む)

この本の最後には、「なんのためのハッカソン?」という章がありますが、いたってシンプルです。参加するにも、開催するにも、目的をはっきりさせましょう!といったことだけが書いてあります。

 確かにその通りだと思います。正直、ハッカソンとかアイデアソンはワークショップと大差ないように思います。得られる効果も近いです。しかし、それらは所詮、手段でしかないのです。ハッカソンをすることが目的になるのは、ハッカソン専門の運営会社くらいでしょう。オープンイノベーション活動を実行しようとか、他社(者)との協業を促進しようといった目的がある場合、必ずしもイベントを開く必要はありません。

 個人的に思うのは、硬直している組織文化や外部の情報と交わる機会が少ない状態を打破するための、劇薬的に使ってみてはどうかということです。劇薬なので副作用もあるかもしれませんが、絶大な効果が発揮されるかもしれません。そういった意味も込めて、この本を参考に開催の目的や意義、得たい効果を再整理できればと思っています。

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