『トヨタの自分で考える力』を読めばきっと自分で考えられるようになる!


衝動買い習慣の中で、買っていたが読めていなかったもの一つがこれ。手に取ってみると、引き込まれるようにバク読みしました。

どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力

どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力

なぜこれを読もうと思ったかは、ずばり「成果に飢えているから!」だと思います。表立っては口には出しませんが、潜在的な自分のコンプレックスだと考えています。

いつも通り始めます。

著者

原マサヒコ
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出所:トヨタの現場で学んだ改善思考を異業種で活かす。トヨタNo.1メカニックからのキャリアドリフト - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

プロフィール

株式会社プラスドライブ代表取締役CEO。
1996年、神奈川トヨタ自動車株式会社にメカニックとして入社。
5000台もの自動車修理に携わりながら、トヨタの現場独自のカイゼン手法やPDCAサイクルを叩き込まれる。

トヨタ流のカイゼンPDCAサイクルを常に意識した結果、技術力を競う「技能オリンピック」で、最年少優勝に輝く。
さらにカイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」でも2年連続全国大会出場を果たすなど活躍。

IT業界に転身後は、PCサポートを担当したデルコンピュータでは「5年連続顧客満足度No.1」に貢献。

現在はWEBマーケティング会社のCEOとして、クライアント先のWEBサイト改善やマーケティング施策の推進業務を担当し、日々カイゼンしながらPDCAを回している。

第19代総理大臣“原敬”の子孫でもある。

出所:プロフィール | 原マサヒコ Official Site

なんか攻撃的なプロフィールですね(笑)。実績を残されているので、反論も否定もできませんが、プロフィールだけで圧力を感じたのは初めてかもしれません。お会いしたこともないのに。。。

ま、最後の一行が効いているのでしょうけどw

 本を選ぶ際、読んでいる最中には著者の経歴や実績を意識しません。読んだ後に確認するというポリシーです。もともと著者のことを知っていて購入した本については例外ですが。


内容

 この本の特徴として、とあるIT系サービス企業に、トヨタ出身の取締役が赴任するという設定で物語が進んでいきます。この設定があることで、よくあるハウツー本みたいに堅苦しくなく、誰でも読めるような雰囲気にしてくれました。

 また、今自分自身が検討していることに対して親和性が高く、学ぶべきことが多かった本書でした。この本に出てくる主人公を自分とか重ねてみることで、トヨタの思考法がより身にしみる気がしました。

 特に気になった点について、かいつまんでレビューしていきます。

生産性が高いとは?

 多くの人は、「汗をかいて頑張っていればきっと報われる」みたいな感覚で仕事に取り組んでいるのかもしれません。トヨタは違うようです。生産性が高いというのは、「頑張っていないのに、成果物の価値が高いこと」を指していると。言い換えれば、「自分がラクになることを考えろ!」だそうです。

 言われてみればそうなのですが、古き悪しき(?)日本的働き方をしている人は、がんばることが素晴らしいということが体に染み付いている気がします。

頑張ることは汗をかくことではない。いかに頑張らずに成果物の価値を高めることができるか。そこが重要なんだ。日本の高度成長期には朝早くから夜遅くまで会社にいるのは「頑張っている人」などと呼ばれていたこともある。だから仕事がなくてもみんなが残っていれば残業に付き合っていた人も多いだろう。ただ、よく考えてみなさい。そんな頑張りが本当に頑張りと呼べると思うか?」

(中略)

本人にそのつもりがなくても無駄な時間というものは多いものなんだよ。私がいたトヨタではそういった時間はすべてムダと考えていた。その上で、ムダを省いて付加価値を生む仕事の比率を高め、人間にしかできない仕事ができるようにと改善してきたんだ。


 本文中にもありますが、「いかに人間らしい仕事をするか」に注力できるかということです。確かに、仕事にはいろんな種類のものがあって、与えられ方や時間軸もそれぞれ違います。頼まれた仕事ってのはなんとなく捨てがたい気になりますが、それも生産性を上げることにつながるのか?生産性を上げるにはどうしたらよいか?をまずは考えるべきだということですかね。
www.mhlw.go.jp

人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線

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あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

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 (上司)「これやってくれ!」→(部下)「はい、今すぐ取り掛かります!」ではダメなんでしょうね。それは上司も部下も無思考であることを意味するのかもしれないですね。本書にあるように、その指示や仕事の先に、お客様のためになるのか?が含まれて、適切な内容やタイミングで、かつ適切な人員がやるべきなんだと思います。

 そうはいっても、「つべこべ言わずにやれ!」という上司の方が多いような気がしますが。。。



ベンチマークせよ

 ベンチマークとは、建築系の人ならおそらく基準点や基準となる場所といった解釈がすぐに思い浮かぶはずです。本書では、まさにそれを指していて、話の中で出てくる同期でどんどん成長しているやつに対して、妬んだり拗ねたりするのではなく、その人をとりあえず見本とみなしてベンチマークとして、観察せよということです。

人生の幸せを感じようとするときは、他人と比較するのはナンセンスだ。ただ仕事においては別だ。うまくいっている人がいれば自分と何が違うのか冷静に見比べて、よいものは積極的に取り入れる。それが成長する考え方なんだ。
(p74)

 確かに、スポーツなんかではそれが顕著ですね。イチローみたいな選手を目指している野球少年は、まだ先は遠いかもしれないが、イチローをベンチマーキングして、イチローが実践していた子供の頃の練習や心構えなどを身につけようとするはずです。なんとなく、スポーツならしっくりくるんですが、仕事となると抵抗があるのはなぜでしょうか。
speedeye.seesaa.net

イチロー 262のメッセージ

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ナカタノナカミ

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夢ノート keisuke Honda

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 やはり、同期を見本にするなんて悔しい。人真似はしたくない。といった心理が働くのかもしれません。実際、私にもそういった心理がないとは言い切れません。ただし、自分の成長を真に実現しようと思えば、相手は同期だろうが、後輩だろうが子供だろうが関係がなくなってきます。貪欲にベンチマークして、よいところを盗もうとするはずです。

 こんベンチマークという概念は、自ら「成長したい!」とか「このままではやばい!」とか思える状態にないとなかなか実践が難しいのではないかとも感じました。



大切なのは「目的は何か」である

 このテーマは、今の私の心に大きく響きました。もちろん意識はしているつもりですが、ふと立ち返ると忘れてしまうときもある。耳が痛い話です。

この手段、この手法しかないと思い込むと、人はいともたやすく目的を見失うものなんだ。どんな結果を得るためにやるのかを意識しないといけない。(p210)

 これに関連して、「5回のWHY」とか「解決するまで現場を離れない」とか「運が悪かったを原因にしない」ということがキーワードとして出ていました。


 この目的を見失ってしまう現象は、私の職場の中にかなり蔓延しています。研究開発系の仕事のせいか、どうしても技術シーズや専門スキルを軸に物事考えてしまう癖があることが一つの原因だと睨んでいます。顧客へ新たな価値を提供するということ(本来の研究開発業務の目的)よりもいかに今持っている技術を活用するか、今おつきあいのある大学やメーカーとの関係を継続するか、今いる人材を活用するか、など見えている手段にとらわれてしまうということが往々にしてあると思います。



 こんな時に、上記の言葉を思い出す必要があるわけですね。なんというか、「目的を失うことって人間だから誰にでもあるんだよー。だから気をつけようね!」というテイストの方がいいように思います。
技術系の人間はプライドが高い傾向にあるので、上から目線で指摘するとこっちを向いてくれませんからね。


巧遅(こうち)より拙速(せっそく)

 普段は使い慣れない言葉ですが、漢字の意味通りです。

(とある会話の流れから)
若手社員
「講師なんてできないよ。やったことないし。」

トヨタの取締役
「なぜできないとわかるんだ?キミは占い師か?」

(中略)
拙くてもいいからまずはやってみろってことだな。早く動くとうまくいかないんじゃないかって心配になるかもしれない。しかし、早く動いただけ何がうまくいってないのかすぐわかるじゃないか。
(p218)


 この点だけは意識してます、自負あります。これは、会社の社風にも影響されると思いますね。関西企業によくある「やってみなはれ」的な文化は、今でも尊重されるべきだということですかね。ただし、「やりっぱなしはあかん」ということを肝に命じなければなりません。
www.suntory.co.jp




変化こそが安全性を保証する

 この項目は、当初のレビューでは省くつもりでしたが、以下の引用部分を読み返したら、省くわけにはいかないと思いました。

そう、今の時代は大きく変化しようとしている。変化に対応する方法は、自分自身も変化することなんだ。企業の中で行われる「改善」はなんのために行うかと言えば、お客様のためだ。お客様が日々変化している以上、企業もお客様のために改善をし続けて需要を創造し続けなければならない。
(中略・・・日本企業はモノがうれなくなったことを世の中のせいだと言いがち)
変わらないことは悪いこと。「これでいい」と思った時点で終わりだ
(P253)

 最後の一行が重いですね。このブログもなんやかんや続けていますが、記事を書いている最中は、「これでいいやー」→公開ボタンをぽちっ ですからね。仕事の中でも、すべてのことを突き詰めるということには至っていません。ここは大いに反省して、周りが妥協しても自分は貫く意気込みで、今後実践したいと思います。

世界のトップエリートが絶対に妥協しない 小さな習慣

世界のトップエリートが絶対に妥協しない 小さな習慣

  • 作者: キャロライン・L・アーノルド,白川 司
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2015/01/24
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感想

 もっと早く読んでおけばよかったと公開しながらも、今回読んだタイミングは、仕事上で壁にぶつかった内容にリンクしていたため、ある意味良買ったのだと思います。この本に書かれていることを実践して成果を出していくためには、自分だけではなく周りにもそれとなく、このような考え方を植え付けていかないと組織は変わらないと実感しています。独りよがりでは何事もあまり効果的ではないですよね。

 そういった、根本論をそれとなく再認識させてくれた本だと思いました。何より、ストーリー展開がうまかったので、これはどんな人でも手にとって軽く読んでみるべき一冊だと感じました。



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 著者の方の別の本も合わせて、自頭を鍛える系を読んでおきたい。

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購入日:7月11日
読了日:3月21日(遅い!)