オープンイノベーションとは何か?を学んで、実践するために必要なことを考える。
さて、研究をより良い方向に導き、大きな成果を出すことがミッションである立場になってからはや2カ月半。あれやこれや試行錯誤しながら、なかなか物事は思うように進まないなぁと実感しています。真田丸でいう石田三成の気分です。ま、机上の企画なんてそんなもんですね。僕は石田三成より真田信繁を目指して頑張ります!
matome.naver.jp
さて、唐突ですが、よく聞くオープンイノベーションってなんなのでしょうか。実はこれが私の目下の大きな仕事になりそうなので、下調べ程度に、既存の先行事例を洗ってみたいと思います。
オープンイノベーション概論
オープンイノベーションとは?
まずは、概要、概念から押さえておきたいところです。まずはWikipediaから。
ハーバード・ビジネス・スクールのヘンリー・チェスブロウ(英語版)助教授によって提唱された概念で、イノベーションをおこすため、企業は社内資源のみに頼るのではなく、大学や他企業との連携を積極的に活用することが有効であると主張する。従来、企業は自社の中だけで研究者を囲い込み研究開発を行ってきた。こうしたクローズトイノベーションの研究開発は、競争環境の激化、イノベーションの不確実性、研究開発費の高騰、株主から求められる短期的成果等から困難になってきた背景がある。そのため、大学や他社の技術のライセンスを受けたり、外部から広くアイデアを募集するなど、社外との連携を積極活用するオープンイノベーションをとる企業が増えている。 一般的には秘密保持契約(NDA)を結んだ共同開発や情報交換から行うことが多い。
ザックリまとめると、以下のような、関係表になりますかね。
比較 | クローズイノベーション (今まで) |
オープンイノベーション (これから) |
---|---|---|
概要 | 自社の中だけで研究者を囲い込んで行う研究開発体制 | 大学や他社の技術のライセンス譲渡、外部からのアイデア募集など、社外と連携した研究開発体制 |
強み | 自社で技術や商品を独占できる | 自社内だけでは発想し得ないアイデア、技術の具現化促進 |
弱み | 競争環境の激化、イノベーションの不確実性、研究開発費の高騰などを理由に研究が止まる | 情報の流出リスク増加、他社による先行開発リスク増加 |
オープンイノベーションコンサル会社・ナインシグマ社のHPにも詳しく書かれています。
www.ninesigma.co.jp
ナインシグマが提供するオープン・イノベーション
2006年の設立以降、弊社では国内企業のオープン・イノベーション活動の支援をしております。具体的には、世界最大級の研究機関・大学・中小ベンチャー企業の技術者と独自のネットワークを通じて、お客様が自社のみでは集められない技術情報や解決できない技術課題に対する解決策を見つけ出し、コミュニケーションのプロが外部との橋渡しをする、いわゆる「技術導入型のオープン・イノベーション」を支援。その他にも、オープン・イノベーションの効果的な活用法を提案するコンサルティング業務、外部組織との提携交渉支援業務など、お客様のオープン・イノベーションを包括的に支援する体制を構築しております。
これに参画するには、どれくらいの費用がかかるんでしょうねー。怖い怖い。
オープンイノベーションによる効果
日経ビジネスに詳しく連載がありました。2009年時点なのでもう7年も前なので、私の検討が遅れていることが示唆されます、急がねば。
business.nikkeibp.co.jp
オープンイノベーションの端的な効果としては、「効率的に低コストで新しい商品を生み出せる」ということではないでしょうか。しかもそれが「単純な外注ではなく、自社の技術と合わせて行うので、自社技術の向上、スキルの向上にもつながる」といった効果があると思われます。さらに、異分野融合による新たな観点の技術革新や商品企画も生まれることが期待されます。今まで通り自社リソースに頼った開発を行い続けると、研究者や技術者の見ている範囲、興味の範囲で発展の可能性が遮られ、やはり大きな革新は見込めないことは明白です。
オープンイノベーション成功のための運営方法
オープンイノベーションについて、大まかに良さがわかってきたところで、それを実現するためには、どういった仕組みや仕掛けが必要なのでしょうか?
business.nikkeibp.co.jp
この記事の中から、特に押さえておくべき点だけ抽出してみます。
開発テーマの設定方法
特に気になった図式がこちら。テーマ設定、判断方法に関するものです。
これ、かなり肝になる図式なので覚えておくように!といった感じです。これは検討材料として模倣させていただきます。ほかにも、テーマ設定に関するエッセンスを抜き出してみます。
オープン・イノベーションは、「達成が見込めるが競争力があるのか怪しい」開発テーマの目標を、「これなら売れて勝てる」レベルの目標に引き上げることから始めます。
これまでのクローズイノベーション型だと、とりあえず自社リソースで達成できそうなことに目が行ってしまいます。これは、自社内でしか物事を見ていないから当然といえば当然なのでしょうか。このテーマ設定をまず見直すことがオープンイノベーションの第一歩だということですか。
しかし、自社で困っているとしても、社外と提携交渉する手間をかけてまで導入するに見合わない技術課題もあります。また、上司に言われたところで、自分で開発することにしか興味のない担当者が社外の技術導入を検討しても、結局うまくいきません。「リッター当たり100キロメートルを実現できる、今すぐ実用化可能な新しいエンジンのアイデアが欲しい」などの存在し得ない技術を前提に目標を設定して探し続けるのは時間の無駄になりますし、プロジェクトの実現性も危ぶまれます。
テーマ設定にかなりセンスが求められるというのは、どんな開発でも同じだとは思いますが、オープンイノベーションの場合、社外の技術をアウトソーシングではなく、インソーシング(取り込んで高める)していくわけですから、相当な議論が必要かもしれません。そのためにはどんなことを題材にすればよいのか??
そこで、技術ロードマップや事業部・R&D(研究・開発)の重要ニーズを集め、目標設定を見直し、担当者のやる気や能力、外部に解決策が存在する見込みなどを基に、オープン・イノベーションにより進めるべきテーマと、これまで通りの進め方をするテーマに仕分けることが重要になります。オープン・イノベーションの推進役は、こういった流れの構築・運営の役割を担います。
やはり、社内の課題を明確に捉えておくことのようです。そして、仕分けるのですね。ここがオープンイノベーションの成功可否の分岐点かもしれませんね。
運営・推進役
先の記事の中に書いてありますが、オープンイノベーションを推進し、プロジェクトを成功させ、次々に商品を出していくためには、片手間の運営組織ではダメということです。専属の推進運営役が必要になります。例えば、
オープン・イノベーション先進企業としてよく引き合いに出されるP&Gは、全世界に70人のテクノロジー・アントレプレナーという、技術情報を収集するスタッフを抱えています。彼らがより高い成果を上げるための指示はInnovation & Knowledgeという本社のオープン・イノベーション推進部隊が行っています。
だそうです。必要な情報収集を行う70人のスタッフを束ねるのが、本社のオープンイノベーション推進部隊というわけですね。ほかにも。
オープン・イノベーションの推進チームを置く動きは、国内でも昨年4月以降、増えています。エレクトロニクス分野では、ソニー、日立製作所といった大手企業が相次いで、オープン・イノベーションを推進する組織を設置しました。
これまで、化粧品、医薬品などすべての分野で社内開発にこだわってきた資生堂も、「成果を上げるため自前主義から脱却する」と宣言し、昨年4月にオープン・イノベーション・グループを設置しました。総研究開発スタッフ数600人超の1%強の7人をオープン・イノベーション推進チームに充てるのは、Connect & Developというオープン型開発戦略を標榜するライバルのP&G(7000人中約120人、1.7%)にも匹敵します。
ほう、運営部隊の大まかな規模感としては、開発部門全数の1%程度ということですか。
推進チームはまず半年近くかけて多くの技術ニーズを集め、製品化に直結する化粧品原料や容器開発などをオープン・イノベーションのテーマとして選定。そのうえで世界中から広く技術を募集しました。今後、推進チームは、開示した課題に集まった国内外のパートナー候補を選別し、共同研究やライセンス契約などを進めるうえでの支援も行っていくものと思われます。
そして、この専属部隊が勧めることはこのようなことということですね。基本的に選定、選別を行い必要な手続きをして、開発が進めやすい基盤を用意してあげるというのがポイントのようです。
まとめ
とりあえず、古い記事ながらもオープンイノベーションについての基本的な考え方、進め方について見てみました。次回は、オープンイノベーションの最新事例から、成功事例を見つめてみたいと思います。
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