エリアマネジメントについて考えてみる その1(自治会との違いは?)


近年エリアマネジメントの必要性が叫ばれている!
なぁんて記事を最近よく見かけますが、一体何のこと?と思う人もきっと多いはず。

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画像はよくあるフランツフェルディナンドのCDジャケットから

「自治会や町内会でまちの自治はやってきたんじゃないの?」とか「余計な費用は払いたくないし、余計な人付き合いは避けたいやい!」などの感想を持つ人も多いかと思います。一方で地域コミュニティの強化や地域力の向上を目指して、エリアマネジメントを積極的に推進する動きもみられます。いったい、これまでと何がどう違っていて、誰が何のために仕掛けているのか? そのあたりを紐解いていきたいです。

エリアマネジメントとは何か?

まずは基本的な言葉の定義から確認です。エリアマネジメントという言葉は、良く聞く人にとっては自然と入ってくる言葉だと思いますが、知らない人は全く触れない言葉だと思います。(当たり前か)
とりあえず、言葉の定義をみてみます。

地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み

とあります。続けて、

「良好な環境や地域の価値の維持・向上」には、快適で魅力に富む環境の創出や美しい街並みの形成、資産価値の保全・増進等に加えて、人をひきつけるブランド力の形成、安全・安心な地域づくり、良好なコミュニティの形成、地域の伝統・文化の継承等、ソフトな領域のものも含まれます。

ともあります。国土交通省HPより)


また、大阪市の条例を見てみますと、

○エリアマネジメントは、まちづくり活動の一種であり、次のように定義されます。
「市民、事業者、土地又は建物の所有者等(以下「市民等」という)による主体的なまちづくりの推進を図る活動」(大阪市エリアマネジメント活動促進条例第 1 条より)

まちづくり活動の一種ですが、次のような特徴を持つものを、特にエリアマネジメントと呼びます。
1.「エリア」という言葉が付いているように、一定の区域(エリア)を対象とすること
2.「マネジメント」という言葉が付いていうように、公共的な空間の維持管理等、まちの環境の運営を持続的に行うこと
3.エリアの市民等が連携して主体的に活動を行えるような、シッカリした組織体制を持つこと
4.公共空間の維持管理等行政権限に係る活動にも民間団体が参画する、官民連携の活動であること

○なお、エリアマネジメントの概念は幅広いものであり住宅市街地も対象に含まれますが、市民、事業者、土地又は建物の所有者等といった多様な主体が参加するという特徴から、都心部等の商業業 務地区を対象とする活動を指すものと理解される場合もあります。

大阪市市政 エリアマネジメント活動促進制度
大阪市エリアマネジメント活動促進制度活用ガイドライン p1より)

"シッカリとした組織体制"のシッカリがカタカナなのが大阪っぽいですねw 国の方針を受けて大阪などの地方自治体がそれぞれの条例や制度を整備しているので、大筋の概念は同じになると思います。なんとなく要約しますと、「公共空間も含めたある一定のエリアの管理を、住民、民間事業者が連携して行い、エリア価値を維持・増進する取り組み」ってことでしょうか。

エリアマネジメントと検索すると、わんさか関連ページが出てきますね。エリアマネージメントなんていう会社があるとは知りませんでした。どうやらロードサイドなどの土地活用の会社のようですので、上記の定義とはちょっと違うような気もしますが。。。

エリアマネジメント
国土交通省HP)
umeda-connect.jp
www.area-m.co.jp
www.ecozzeria.jp
www.ohsaki-area.or.jp
www.ligare.jp
タウンマネージメント概要|グランフロント大阪 GRAND FRONT OSAKA

さまざまな地域で活躍されているであろうエリアマネジメント団体も多く存在します。その方々の活動や取り組み、課題なんかは別記事で記録しておきたいと思います。

自治会とどう違うの?

 おそらく、ほとんどの方の疑問点はここになると思います。例えば、戸建て住宅中心の住宅地に住んでれば自治会があり、マンションに住んでいれば管理組合がある。それとどう違うの?ってことですよね。


第6回新たな担い手による地域管理のあり方検討委員会 資料より
これ、元のページを探しきれていませんが、とても参考になるので引用します。いつの会議なのかもわからない。(国交省さまの資料はいつもありかが不明瞭ですね。)

既往の概念として「タウンマネジメント」という言葉があり、「エリアマネジメント」との使い分けが必要なのではないか。
・ 「タウンマネジメント」は公共的な統治としてのガバナンスの要素を含有するが、「エリアマネジメント」はガバナンスの要素は含まない、という印象がある。
・ エリアマネジメントの体制について類型化する際には、そこには多様な側面があることを付してほしい。

自治会との関連については。

自治会活動等から発展するエリアマネジメントと、NPO等が地域に入っていくことで始まるエリアマネジメントがあり、その担い手は多様で幅広い。マニュアル作成の際には、 エリアマネジメントの担い手の対象をどのように捉えるかが課題となる。

・エリアマネジメントの担い手のあり方は、住民主体で専門家が支援するもの、専門家が主体となって住民の意向を汲取りながら行うものと、大きく2種類に分けられるのではないか。

・ 既成市街地のみだけでなく、新規開発住宅地でもエリアマネジメントを行っている例は多いし、比較的容易にできるもの。エリアマネジメントの体制づくりの一類型として、新規開発住宅地におけるエリアマネジメントを加えてほしい。

・ 最近のエリアマネジメントの新しい動きとして、大規模開発とその周辺の密集市街地や商店街が一体となって、全体の価値を向上させるよう周辺に開いてマネジメントする取組みが見られる。本委員会の報告書にも記載しておく事が望ましい。

そもそも自治会の役割ってなんでしたっけ?

 実は私にはこれが一番わからないところです。自分自身が自治会活動に参画したことがないので、自治会や町内会の良し悪しが判断つきません。世間的には、まちの掃除をしたり、祭りをしてみたりして、地域の保全や活力向上を図っている印象があります。そうゆうことならエリアマネジメントと同じではないの?とも思えます。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
このYahoo知恵袋のやり取りは興味深いです。2011年の記事ですけど、まぁ本質は今も変わらないのかなと。若い世代は特に、自治会や地域の取り組みからどんどん離れていった時代があったと思います。これは、知恵袋内にあるように、自治会の印象が非常に悪かったことが一因かと思ってます。(阪神大震災東日本大震災を身近に経験した人はそこから考え方が変わった人も多いと思いますが)
自治会といえば、古い体質でやることを押し付けられ、勝手に何かが決まって金を取られる、みたいな悪い側面ばかりがクローズアップされてきたような気がしますね。元々の自治会の役割はもっと高貴でみんながやるべきだと納得感があったものだったのでしょうが、時代とともにズレが生じてきたのでしょうか。
www.nhk.or.jp
あと、こないだのクローズアップ現代NHK)の中でも、「町内会が消える!?」ということで特集されていました。ここで言及されている町内会の課題は、これから進めようとしているエリアマネジメントでも同じものになるのではないかと私は懸念しています。これまでの古臭い"自治会・町内会"という言葉が、ちょっと洒落た感じの"エリアマネジメント"というカタカナになっただけでは全く意味がありません。前述のエリアマネジメントのあるべき姿みたいな議論がとても重要で、かつ民間事業者が積極的に入っていく仕組みや制度設計が求められているだろうと思いいます。

とりあえず以上

参考

You Could Have It So Much Better

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