新国立競技場整備事業から施設建設計画を学ぶ2(どんな基準で最終決定?勝手に採点してみた)


いよいよ明日(12月21日)、新国立競技場の最終デザイン案が公表されます。正確には12月19日にすでに最終審査は行っているらしいので、関係者は知っているのでしょう。さて、どのように決定されるのか。この点について学んでみます。また、後の方に、私の勝手な採点結果が出てきます。

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出直しコンペの形式はデザインビルド方式

コンペのやり方について多少の異議の声が出ているようです。
irorio.jp

出直しコンペの応募条件は

  • 総工費1550億円以内
  • 2020年4月までに完成させる
  • デザイン・設計・施工の一括発注方式

この条件の場合、設計者はあらかじめ施工者(主にゼネコン)とタッグを組んでおく必要があるようです。これはデザインビルド方式というらしいです。組んでくれるゼネコンがいない場合、応募できないので不公平だ!という声が上がっているようです。今日のTBS系列NEWS23でも、建築家の坂茂氏(プリツカー賞受賞)も似たようなことおっしゃってました。なので、ゼネコンが見つからなかったザハさんや坂さんは断念。


コンペ方式をおさらい

おさらいというか完全に始めて勉強します。さらっとネット上を模索。

建築設計競技 - Wikipedia
随意契約 - Wikipedia
http://www.city.niiza.lg.jp/uploaded/attachment/12849.pdf
埼玉県新座市HP

・・・なんかいまいち良いまとめが見つかりませんね。まじめに教科書買えってことでしょうか。

出てきた用語

  • 建築設計競技・・・建築設計において複数の設計者に設計案を出させ優れたものを選ぶこと。設計コンペ、競技設計ともいう。
  • プロポーザル方式・・・会社の体制や取組実績、技術力等を総合的に判断し、 優れた「設計者」を選定する方法
  • コンペ方式・・・具体的な「設計案」を評 価し、優れた「設計案」を選定する方法
  • 競争入札方式・・・価格によって設 計者を選定する方法
  • 随意契約・・・国、地方公共団体などが競争入札によらずに任意で決定した相手と契約を締結する方式

なんだか、あまり体系化できません。やっぱり教科書買えってこと?? そして、これをまじめに整理しようとすると本腰入れないといけないのでちょっと後にします。とりあえず今回は設計と施工が一括して審査される方式であることはわかりました。

新国立競技場のデザイン案の決め方

さて、本題に戻します。最終決定がもう翌日に迫ってますのでちょっと急げ!今回の設計コンペの審査基準はJSCのHPに記載がありました。

技術提案等審査委員会 | 新国立競技場 | JAPAN SPORT COUNCIL
第6回(平成27年11月24日)
参考資料1 求める技術提案書及び審査基準について[PDF:259KB]

この資料によれば、審査基準はこれ↓

必須項目 業務要求水準書の基礎事項(施設規模や工期、事業費等)を満たしているか確認する。
評価項目 発注者が特に重視するコストや工期の縮減、ユニバーサルデザインなどについて評価する。

ちょ、これってデザインとか関係なくないすか??っと思いきや、よく資料を見てみるとこんな表現があります。
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評価項目

  • 業務の実施方針(20点)
  • コスト・工期(70点)
  • 施設計画(50点)

()内は配点

施設計画の中に以下の項目が、(・・・は、同資料p4「新国立競技場整備の基本的考え方」から該当しそうな項目に引用)

  • ユニバーサルデザインの計画・・・世界最高のユニバーサルデザインを導入した施設
  • 日本らしさに配慮した計画・・・日本の伝統的文化を現代の技術によって新しい形として表現
  • 環境計画・・・地球全体の環境負荷の軽減に貢献する
  • 構造計画・・・(該当表現なし)
  • 建築計画・・・災害時の避難及び救援、競技者と観客とが一体感のある空間、

豊かな緑とともに、スポーツクラスターの中心を作り出す
があり、それぞれについて、「提案の適格性、独創性、実現性について総合的に評価
とあります。それぞれ配点は10点です。

勝手に採点

さて、こうゆう審査基準があるならば、建築かじった私で勝手に採点しちゃおう!という気になってきました。前回の記事を参照しながら勝手に主観で評価してみます。採点方法も指定されています。
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なぜこんなにわかりにくくするんですかね?なんか建築の法規とかもこんなんですよね。要するに、めっちゃいいはAで10点ゲット、全然ダメはFで0点ってことですね。

さっそくやってみます。

審査基準 A案 B案 理由
UDの計画 A(10) A(10) 双方かなり細部まで配慮をされていますので同点。特にA案は子連れ客への配慮、B案はスポーツ種別の客席配慮パターンの提示などが興味深いかった
日本らしさに配慮した計画 A(10) B(8) A案は、内外の細部にまで日本らしさの追求を感じますが、B案はそもそも神殿なので日本らしくないのでは?と思っちゃいました。双方木材を用いている点では同様なのですが、A案は木材とその使い方の理由まで言及していたのが好きです。(p20)
環境計画 B(8) A(10) なんとなくB案の方が総合的に提案しているように思えました。外部との関係がわかりやすい。(p30-31)
構造計画 A(10) A(10) これは双方変わらず、すごいことしてると思います。というかあんまりわからない。
建築計画 A(10) B(8) 建築計画ってかなり大雑把な言い方なので判断が難しいですが、A案は建物として周辺との調和を目指している感がありますが、B案は結構スタジアム感を主張するデザインだと思います。内部の計画も含めてA案の方が個人的に好きなので。
合計 48点 46点 ・・・

というわけで、私的、新国立競技場の新デザインはA案となりました!!

明日は細かい採点結果まで公表されるのだろうか、最終決定の公表が楽しみです。