「うめきた2期区域まちづくり検討会」から都市計画を学ぶ その3(コンペ要件が決まるまで1)


前回に引き続いて、うめきた2期区域の検討からまちづくりや都市計画について学んでいくシリーズです。第3回は、うめきた2期をどんなものにする?という議論の原点を垣間見たいと思います。つまり、コンペ要件の決定プロセスです。うめきた2期区域は周辺地域にとってどのような位置付けであり、また今回の再開発はなぜ今タイミングなのか、最終的にどのようなスパンで考えていくのか、などが過去の検討会の内容から見えてこないかなぁと思っています。

日時 内容
平成24年9月6日 大阪市市政 大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺地域都市再生緊急整備協議会を設立しました

※今から3年前。グランフロントオープン(H25.4オープン)の半年前のこと

以下、検討会議事録からの抜粋

和泉地域活性化統合事務局長(内閣官房)の開会挨拶

〜〜〜
都市再生特別措置法は最近2回改正しました。1回目は昨年でございますが、まさに今日のテーマでございます、都市の国際競争力を強化する、そういった観点から特定都市再生緊急整備地域をつくっていく。そういった都市についての様々な支援措置の深掘りをする。これが一点でございます。もう一点は今年の改正でございますが、昨年の東日本大震災を受け て都市の安全性の向上、なかんずく大阪駅は多いんですね、一日の乗降客 100 万人を超える ような巨大ターミナルとその周辺について、大地震が起きた時に、人的被害の最小化、あるいはこれは国際競争力につながりますけれども、事業の継続性の確保、こういった観点からの計画をつくって、全体としてやっていかないと。〜〜〜

なるほど、都市再生特別措置法は、過去に2回改正されているのですね。


その後、淡々と協議会設立について合意が得られていきます。そして具体的に「うめきた2期どうするよ??」って話になっていきます。ここで市長登場!

橋下大阪市長(当時)

うめきたのこの問題については、しっかりと経済界の皆さんと行政と民間が本当にタッグを組んでですね、これは大阪のためということでし っかり一致団結でやっていきたいと思いますので、色々と僕や松井知事と、色々な形で見解 の相違があるかもしれないけれど、この件に関しては一致団結でお願いしたいと思っており ます。

と述べ、さらに

後は僕や松井知事の役割というものは、大きな旗振り役でありまして、基本的にはその中身詳細を詰めていくのは民間の皆さんのご意見と、それから事務局を運営している行政のス タッフが中身を詰めていくということになるかと思いますので、今日は僕と松井知事が考えている大きな旗振り役としての方針について若干述べさせていただきたいと思っておりま す。
知事といま僕は同じ政治グループを組んでおりまして、まあ大阪維新の会というグループ を組み、このうめきたの問題についても色々考えてきました。大阪の成長戦略として僕が知事時代にまとめたものとしてはですね、大阪をハイエンド都市、それから中継都市ですね、この2つの軸をもとに、成長戦略を考えてきました。

ほうほう。なんかいい感じ。さらに、付加価値を上げるなどの話が続いて、

付加価値の高い都市はなんぞや、ということになるのですが、ここはほんとに皆さ んに色々お知恵をお借りしなければいけないんですけれども、イメージとしてはざっくりとしたことなんですけど、いわゆる新興国のように車や何かで雑多にですね、もうごちゃごち ゃとしているようなことではなく、やはり世界からみて、これが最先端の都市なんだな、と、 最先端の都市モデルなんだな、といわれるような、そのような都市をめざしていきたい。そこに緑というものを一つ軸に置いて、このうめきたのあたりの周囲についてもですね、これまでの経緯を知事時代から振り返って色々と調べてみると、旗振り役はおらず、そして方針もあまり明確に定まっていないところで、色々とここに競技場をつくったらいいのじゃない かとか、どうだこうだという色々な話もありましたけれども、やはりしっかりと緑というところを軸に据えていこうというのが、僕と松井知事の考え方であります。

ここでもうすでに緑がテーマになってますね!!

ということで、もともと知りたかったコンペ要件は早い段階で明確になっていたようです。しかし、

  • 知事や市長が言ったからすべてが通るわけではないのでは?
  • 民間や有識者が集まって、あーだこーだ言ってる間に、もっと良い代案が出てくるのでは?

と思えるところもありますが、結果的に『みどり』がテーマとなってコンペが募集されているところを見ると、もうこの出発点での議論がほぼすべての方向性を決めているといっても過言ではないでしょう。

その後の議事録を見てみます。大阪グランドデザインという大きなコンセプトが出てきます。

大阪市域内においても大阪府庁の職員も入りまして、「グランドデザイン・大阪」というものを一つまとめました。
これは 50 年先を見据えたことなんですが、これをスタートさせる時にもですね、僕は御堂筋の緑化という、これもその時には何をばかげたことを言っているのだと言われましたが、 まあ 50 年先ぐらいには御堂筋を緑にするということぐらいな、そういう勢いで大阪グラン ドデザインをつくってほしいということを言いまして、今、ひとつまとまっております

確かに、今となっては御堂筋緑化は地域や近畿圏に馴染んでいるように思います。

大阪マラソン
<市民マラソン>地方開催続々、集客あの手この手…旅も満喫 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

御堂筋イルミネーション
御堂筋イルミネーション2015 | 大阪 光の饗宴2015

御堂筋フェスタ

ストリートバスケしたり
御堂筋フェスタ2012でやってたストリートバスケ(試合後半) - YouTube

いろいろ盛り上がってます。


最後に、検討会への要望めいたもの。

ただ、完全に緑かというところはいろいろ議論のあると思いますので、そこはまた皆さんに詰めていただきたいと思うんですが、ただあの中にですね、高層ビルか何かをどんどん建てていって、そこの売却益を狙うということは今のところ考えておりません。むしろあそこを緑にすることによって周辺部にその価値が高まった部分を還元するということですから、うめきたの今の地区の周辺部を、そのいわゆるまちづくりの動きを起こしていくためにですね、あの中心部、うめきたのあのいま空いているところは緑で進めながら、そして周辺部に、周辺部の価値を高めていくというようなそういう方向性で進めていただければと思っています。

さらに、これまでの行政主体のやり方ではなく民間と積極的に連携することを強調。

それともう一つ大きな視点としましては、これまでうめきたの地域ということになると大阪市が主導でやっていましたけれども、今後は違うと。やはりあのうめきたのあの地域というものは、大阪市域内だけのミクロな視点で、また北区とか、まあその周辺の区のエリアの問題として捉えるのではなく、大阪全体のもっといえば関西の拠点という視点で捉えてほしい、ということも事務方へ指示をしております。

その後は、この場に参加している会員の方のおご意見、とそれに対する市長、知事の返答が続きます。このあたりは次回にレビューしたいと思います。

この時点では、やはり都市再生特別措置法を詳しく知らないといけないことが明確になりました。


次回に続く。