『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(2018年, 青野慶久)は、会社員が全員読むべきかもしれない。


2018年12月初旬に、サイボウズデイというイベントがあったので、行ってきた。イベントの中で、社長の青野さんとのパネルディスカッションのパートがあり、その中で紹介されていた本です。

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。


いつも通りレビューします。

著者

青野 慶久(あおの よしひさ)

言わずと知れた?サイボウズの社長さん。
育児休暇をとったり、夫婦別姓を訴えたり、話題も多い人です。でも、単に話題作りのためにやっているというより、自分自身に正直に生きているという印象を受けます。とてもいい人そうな表情が印象的。

内容ピックアップ

イケてない代表の下で偉くなった人は、たいていイケてない。

p38

〜(中略)〜
「でも、今の代表がイケてなくても、大きな企業であれば、代表は4年くらいで交代する。今のイケてない代表が、次はイケてる代表になる可能性もあるのでは?」と疑問に思うかもしれません。

 しかし、「たいてい、次の代表を選ぶのは、今のイケてない代表」ということを忘れては行けません。

〜中略〜

イケてない人は、自分にとって都合のいい人を選び、自分の利益を脅かす人を選ばないからです。

すんごいわかります!めちゃめちゃロジカルな説明ですよね。

企業の人間は自分の身を守ることが第一なので、自分にたてついたり、自分より良い提案を出してくるやつは、基本排除してきますよね。

(まさに自分をプロテクトしている!)

そこであなたが、「よし、このカイシャをなんとかして変えたい」という立派な志を持っても、変える権力を手にするには、「イケてない人に選ばれ続ける」という我慢を積み重ねていかないといけない。我慢レースの始まりです。

イケてない人に選ばれ続けて、我慢した結果、イケてない人の仲間入りをしている・・・

これは絶対嫌ですよね。ま、これだけで給料をもらえるなら頑張れる人もいるかもしれませんが。。。



集まる理由がないカイシャで働いて、楽しいはずがありません。

p56

理念を持てないサラリーマン代表取締役は、とりあえず他人から批判されないように、雇用を維持し、売り上げと利益を向上させる事を目的に経営をし始めます。すると、職場にやらされ感が出てきて仕事を楽しめなくなるし、社会の役に立っている感覚も失われてしまう。目先の数字に追われる毎日。だったら、一回リセットすればいい。

確かにそうでしょうね。一度守りに入ると、もう攻められなくなる感覚はあります。守りというのはかなり危険な姿勢ですよね。

カイシャはバーチャルな人なので、このモンスターが死んでも、実は誰もこまりません。

マジすか??カイシャ潰れたら社員は路頭に迷うのでは?
という声が聞こえてきそうですが、そうなったの要因も社員にあるんですから、自業自得という見方もできますね。

デザインあ 解散!の解

デザインあ 解散!の解

(解散して考えてみると良い)


理念を失ったカイシャの社員は、沈む船に気づかず我慢レースを続けていく。

p81

カイシャを立ち上げた時に代表が持っていた強い夢が、創業者の高齢化や世代交代と共に弱くなってしまうことがあります。そんな時は、一度カイシャをリセットして、もう一度、創業し直せばいいのですが、消化不良のまま、次の代表がとりあえずバトンを受け取って走り出してしまう。夢を強く持てない代表は、夢を熱く語ることができないので、そこに集まってくる社員は、夢に共感できないままなんとなく仕事を続ける

よーくわかります。

この状態になると、「あれ、この人何を目指してこんなこと言っているんだっけ?」という疑問が湧いてきます。
そうなると、たとえ役員クラスでそれなりの権力があっても、共感による求心力がほぼなくなり、「とりあえず言うこと聞いとくか」状態になるのではないでしょうか。

やっぱりそこはルフィーのように、「海賊王に俺はなる!」と言い続けた方がいいんでしょうね。それが無謀だとしても、「仕方ないなぁ、応援してやろう」という仲間が寄ってくるような気がします。

我慢する理由: 職場の矛盾や理不尽、人間関係に向き合いストレスに強くなる方法

我慢する理由: 職場の矛盾や理不尽、人間関係に向き合いストレスに強くなる方法

(我慢は良くない。夢を抱いて宣言しよう!)


自分で選び、責任を取る。自分の意思で人生を切り開くのは楽しい。

p120

夢を重ねるのが難しそうであれば、転職はよい選択だと思います。

この辺りは、サイボウズデイ大阪で登壇されていた北野さんの著書をオススメします。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

この本についてのレビューは、こちらから。


質の勝負に転換して復活を遂げた今治タオル

p147

やりたいこと、やるべきこと、やれることを重ね合わせる

かつては、一代を気づいた伝統工芸や工業製品が息を吹き返すときって、なんかデザイナーがマジックを仕掛けたと思われがちですが、実は原点回帰をしただけってパターンはよく見かけます。

原点回帰をして、今の時代にフィットするようにデザイナーが導いただけ。でも、それがとってもクリエイティブだから、デザイナーってかっこいいなと思われますよね。



バルミューダもその一つだそうです。これは、かつてヒットしたものではないですが、デザインへのこだわりが圧倒的な支持を得ていますよね。

(確かにかっこいいし、性能も良い)

日本には「そのカイシャ以外で通用しない社員」を量産している大企業がたくさんあります。

p165

たとえば、日本には、「そのカイシャを辞めたら他では通用しない社員」を量産している大企業がたくさんあります。他のカイシャでも求められるようなスキルを身につける機会を与えず、社内でで長期間にわたって漫然と働かせる。ある日、カイシャの業績が悪化しm転職しないといけなくなったら、さぁ大変。そこで初めて自分の市場価値の低さに気づく

これが最もやっかいだと思います。
ほんとに、困ったもんだ。そして、その事実に気づかない社員もまた、困ったもんです。

漫然と仕事をしている人って、今いるカイシャが永遠だと信じ切っているのでしょうか。ま、カイシャは続くかもしれませんが、今やっている仕事が永遠にできるわけはありません。そういったことを思っている人と危機感を感じている人では、話が合わなくなるということも体験しました。

東芝 終わりなき危機 「名門」没落の代償

東芝 終わりなき危機 「名門」没落の代償

(あの大企業でも倒産の危機はたくさんあった)


多様な人が楽しく働くための「フラスコ理論」

p176

ビジョンという制限こそが、チームで実行可能なアイデアを引き出すと考えています。

詳しくはこちらから
diamond.jp


流行りのティール組織ですかね。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

(イマイチよくわかっていません。。。)


おわりに

 青野さん率いるサイボウズでも、かつてはブラック企業時代があったというのが意外でした。その時代には、月に何人も退職が出て、毎週のように送別会をやっていたとのこと。そう行った闇の時代を経たサイボウズだからこそ、今日の働き方改革を率いる説得力があるのだと、完全に納得してさらにファンになってしまいました。

 また、この本の中にもあるように、学歴や企業の大きさを重視した親を安心させるためを優先した就職というのが、今後の人生でどれほど危険なものか、改めて認識しました。もちろん、大企業で働くことは、間違いではありません。ただし、大企業が大企業になった時代の前、いわゆる創業期というのは、もっと仕事自体を楽しいと感じ、働く喜びを確認しながらカイシャに向かっていたのではないかと想像します。

 そういった感覚を今一度取り戻せば、個人も変われるし、その結果大企業もちょっとずつ変わっていくのではないかと感じました。

参考図書

世界一わかりやすい! プログラミングのしくみ

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kintone認定 アソシエイト 試験対策テキスト

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読了日:2018年12月12日