『佐藤可士和の打ち合わせ』(佐藤可士和, 2014.11)から学ぶ"打ち合わせ"の真意


佐藤可士和さんは、ユニクロのロゴとかを手がけていて世の中的にも超有名な人ではないかと思います。デザイナーのお仕事ってさぞかし大変なのでしょうね。と想像もつかないけれど勝手にそう思い込んでいる人が多いのではないでしょうか。もしくは、高額なデザイン料を取ってさぞかし豪遊してるのでしょう?とか。ま、それは置いといて、有名になるデザイナーさんは、それなりの努力と下積みを経ているのは確かです。

f:id:demacassette:20151213004422j:plain
見慣れたユニクロのロゴ

佐藤可士和の打ち合わせ

佐藤可士和の打ち合わせ

読了日:2015.09.27

kashiwasato.com



さっそく恒例の気になるワード抽出&コメント

p24

打ち合わせに出るときは、クリエイティブなことをするんだ、何かをみんなで作り上げるんだという意識を持って臨む

これは業種によって違うと思いますが、普通の昭和的企業にはあり得ないモットーだと思います。少なくとも自分の仕事がクリエイティブだとか世界を変えるとか意識している人が少なすぎる。ということはつまり、自分の仕事はある範囲の目標達成にしか過ぎず、それから先は別の人がやってね、もしくは別の次元で動いているというような意識かもしれません。これってつまり、自分の仕事の波及効果を正しく理解していない、もしくは理解しようとせずに目の前の仕事だけこなそうとしている意識の表れかなと思ったりします。



p67

飲み会や結婚式では事前に席順を考えるように、打ち合わせでも考えておく気配りをするのは当たり前。

確かにこれはそうだと思います。漠然と打ち合わせが始まって、参加者の役割とか話題提供の順番が決まっていないと、どっから攻めていいのかわかりません。そんな打ち合わせだと、声の大きい人、社内的ポジションの高い人、年齢の高い人、が好き勝手にしゃべってしまいます。そういった不公平さを抑えて、打ち合わせの目標に導くのも打ち合わせの仕切り役、つまりファシリテーターの役割だと改めて思います。



p80

準備しすぎに注意!

これって意外と難しいんですよね。やっぱり打ち合わせの主催者は、参加者に失礼がないように結構準備を入念にしがちです。しかし、みんなが意見を出し合う場ではファシリテーターはあんまり結果の例を示さない方が良かったりすることもあるのは実感します。先にファシリテーターの思いを出しすぎると、みんなのせっかくのアイデアが一旦退いてしまうなぁて感じることは多々ある。何かを決めにかかる打ち合わせだとしても、ファシリテーターは最初に結果めいたことを提案しべきではなく、ある程度ブレストや議論が煮詰まった段階で、「さ、ではまとめに入りますよ!」といった具合でファシリテーター側の提案を出すと、より効果的かなぁと思ったりします。


p106

終了時間を意識することも大事。課題が終わってないからといって時間を勝手に延長してしまう。終了時間間際でも終わろうとしない。コストが奪われてる。

これってとっても基本的なことだけど、社会人になると”惰性”という悪い習慣がちょこちょこ入ってくるので、諸先輩方が惰性をし始めると、後輩も惰性しちゃう。とにかく時間は守ろう。



p125

「そんな感じで」で終わらせない→「これでいいですか?」と決めにかかって終わる。

「んじゃ、そんな感じでまとめてきてー」とか言って終わる打ち合わせは、はっきり言ってダメなファシリテーターだという烙印を押されるのは確実です。議論の最初は「こんな感じかなぁ」でもいいと思いますが、終盤は「んじゃ、これでいいんですか?」、「いやこうゆうことでまとめよう」とかかなり具体的にやることが決まっていないと打ち合わせした意味ないと思います。うちの会社でも往々にして、「こんな感じでまとめて次回打ち合わせしようか」とかで終わることがありましたが、それだと担当者が曖昧なまま作業に入ってしまい、作業中にもし確認を怠れば
次回の打ち合わせで「あれ?こんな感じでよかったけ?」みたいになっちゃいます。これだと打ち合わせの二度手間ですし、担当者の作業時間やみんなの待ち時間もすべて無駄になってしまう。何事もはっきりさせることが大事ですよね。



p144

くどいコミュニケーションは避け、説明はできるだけ簡潔に、かつシンプルにする。

・・・これが一番難しいのでは?というのは、わかっていても改善しにくいと感じるからです。上司やさらに上の人が気づいて注意してくれればいいのですが、後輩がこの悪しき事実に気づいてもなかなか注意できません。とにかく、こうゆう人が周りに多いのです。特に前置きが長くてくどくど喋る人。聞いている人にとっては、あまりに結論まで長いのでもう聞く気を失って諦めてしまう可能性があります。また、本質の内容にたどり着くまでにかなりの時間をようするので、みんなの時間を奪っています。百害あって一利なし。とりあえす質問に対しては、Yes, Noで答えたのちに、必要であれば理由を付け足すという訓練をした方がいいと思っています。自分自身はそれをやりすぎて、周りからはあっさりしてるね!と言われがちですが、逆に褒め言葉だと思ってます。



p153

クライアントが用意周到と思えるのは、もし自分が作る立場ならこれが必要だろうと想像して準備してくれているとき。

この言葉とのものが本文にあるわけではないのですが、こう解釈しました。つまり、何かを依頼するときに、依頼先の立場に立って、「これを作ってくれと言われたら、事前にこんな情報も必要だろう・・・」と想像して、依頼内容の周辺情報を準備している状態を言っています。その状態に持ってきてくれる担当者は、『こいつデキるやつだ』とあの佐藤可士和さんも納得するようです。そうして納得したからこそ、次のステップにもすごくスムーズに進めるとの事。これはどんな取引の場合にも言えることで、とにかく相手を思いやりつつ、より良いものを作りたいという情熱をぶつけるいいプロセスだと思います。実践しよう。



p169

相手がやる気になる言葉をかける。「日本中をびっくりさせよう」とか。

いつからか私の口癖として、「これで世の中に爪痕残しましょうよ!」、「これで世界が変わりますね!」、「これで老後も次世代も安心やね!」とかは言ってます。それで相手がピンと来るかどうかを実は観察してます。相手の反応の多くは、「・・・あ、はい。。。」とか「そこまでいければいいね。」とか、どこか消極的でそこまで考えてないけど、仕事としてやってますといったスタンスです。とても面白くない反応です。どうにか変えていきたいと思いますが、それは別のアプローチが必要かもしれません。とにかく、私は言い続けます。



p206

とりあえずやってみて、ダメなら潔く変更で。とリーダーが言えるかどうか。

この勇気、いつか持てるのだろうか、と心配になります。この境地に達しているリーダーはそうとうな修羅場や難局を乗り切ってきたのだろうと容易に想像できます。普通の仕事を普通の範囲でやってきた人では、この境地には立てないのではないかと思います。少し無理のある課題に立ち向かって、良くも悪くも成果を残した人ほど、この「とりあえずやってみて責任とるから」の一言が言えるのだと思います。とにかくふところの深さがものを言うのがリーダーかな。



p226

社内で打ち合わせが必要なのはコミュニケーションが取れてない証拠

もうこれは言い返す言葉がない。普段から会話や対話ができていれば、打ち合わせなど必要ない。ほんとの確認だけでOKですね。



p232

上司はパリダカのナビみたいなもんで、いいタイミングで口を出す

実はこれに近い上司に巡り合っています。そうゆう人って不思議な雰囲気があるように思います。なんか普段はのほほんと部下に接する割に、本質はわかっているので、大事な部分ではきっちり軌道修正を促してきます。本質を突いてくる人にはなかなか言い返せない。本質をつかずに薄っぺらい質問をしてくる上司もいます。これは適当に返せる。適当に返されたこともわかってないかもしれない。いちいち細かく管理してくる人より、良いタイミングでバシッと本質を指摘してくる人は普段から観察していて、信頼できる人だなぁと感じます。



おわりに

打ち合わせを変えれば、仕事が変わり、会社が変わり、人生が変わる

最後に佐藤可士和さんが綴っているのは、「山のない仕事を進めることで、働き方がラクになる」ということ。働き方が楽になるということは、人生が変わっているということです。博報堂のような一流企業に勤められていた佐藤可士和さんは、その当時「昨日も徹夜したし、よくはたらいたなぁ」というふうに、仕事の負荷によって達成感を感じる時代があったようです。確かに私もそうゆう感じでした。でも今は家族がいて子供がいて、共働きでというふうに、自分だけのペースで人生を考えることはなくなりました。となると、会社の一方的な都合で自分の時間がなくなったり、急に土日に仕事をいれられたりといったことは、家族の幸せから遠のいてしまいます。となると、佐藤可士和さんのようにいかに効率的に質の良い仕事を進めるかというポイントを探りたくなってきます。そうなると、確かに打ち合わせというステップがボトルネックになっていることに気づくこともあります。現在は、私自身のスタンスも変わり、言いたいこともずけずけ言うような生意気さに磨きがかかってきましたので、もしかしたら打ち合わせを変えられるかも?と思ったりもします。が、会社にはいろんなスタンスの人がいて、いまだに「あいつは残業してないからやる気がない」とか「打ち合わせのときに何もしゃべらないとはどうゆうことだ」とかわけのわからない昭和的ど根性気質を振りかざす人もいます。そういった状況の中で、いかに良い流れをつくるか、流れを変えていくかというのが私の挑戦的な部分でもあります。

佐藤可士和さんに限らず、様々なビジネス本の中で、仕事の効率化について言及されていますが、いずれの手段にせよ、一緒に働く人の意識レベルがある程度同じになることが前提のように思います。こんなことについて描かれている本があれば、探してレビューしてみます。

以上